機械学習をもう少し詳しく見てみよう
前回、「ルールを人間が書く代わりに、たくさんのデータから『ルールに相当するもの』をコンピュータ自身に見つけさせる方法」を機械学習と呼ぶ、と紹介しました。
具体例で考えてみましょう。「写真が犬か猫かを判定するプログラム」を作りたいとします。
- ルールベースで作ろうとすると:「耳が三角なら猫」「舌を出していたら犬」のようなルールを人間が考えて書く必要があります。しかし例外だらけで、すぐに書ききれなくなります。
- 機械学習で作ると:「犬」「猫」というラベルが付いた写真を大量に(数千〜数百万枚)コンピュータに見せます。すると、コンピュータが「犬らしい特徴」「猫らしい特徴」のパターンを自動的に見つけ出し、新しい写真を判定できるようになります。
このように、あらかじめ「正解ラベル」が付いたデータを使って学習する方法を 教師あり学習 と呼びます(「教師」が正解を教えてくれる、というイメージです)。他にも、正解ラベルなしでデータの傾向を見つける方法(教師なし学習)などもありますが、これらはこのコースに今後追加していく章で扱う予定です。
大事なのは、機械学習も「入力から出力を計算する」という点では前回のf(x)と同じですが、そのfの中身(計算のルール)を人間が決めるのではなく、データから自動的に決めるという点が違う、ということです。
ディープラーニングと生成AI
ディープラーニング(深層学習) は、機械学習の中の一つの手法です。人間の脳にある神経細胞(ニューロン)のつながり方をヒントにした「ニューラルネットワーク」という仕組みを、何層にも重ねて使います。
言葉で説明するとやや抽象的なので、まずは全体の関係を整理しておきましょう。
- AI(人工知能):人間が考えて行っていることをコンピュータにやらせる技術、全体を指す一番広い言葉
- 機械学習:その中でも、データから自動的にルールを見つける手法
- ディープラーニング:機械学習の中でも、ニューラルネットワークを何層にも重ねる手法。画像認識や音声認識など、人間には得意でもルール化が難しい複雑なパターン認識で特に力を発揮する
- 生成AI:ディープラーニングを応用し、文章・画像・音声などを新しく「生成」できるようにしたもの(ChatGPTのような対話AIもここに含まれます)
つまり、「ディープラーニングは機械学習の一種」「生成AIはディープラーニングの応用」という、入れ子の関係になっています。
ディープラーニングの土台となるニューラルネットワークの仕組みは、第6章でじっくり扱います。生成AIの詳しい仕組みは、今後追加していく章で扱う予定です。今の段階では、「何でもかんでも同じ『AI』と呼ばれているが、中身にはこういう段階がある」ということだけ覚えておけば十分です。